聖書に親しもう(第4話)
父と子と聖霊

 聖書,特に新約聖書を読んでいると,「父なる神」,「神の子」,「聖霊」などとうい言葉が繰り返し出てまいります。これらはいったい何のことなのでしょうか。
 実は,これらはどれもキリスト教の神のことを指します。
 なぜ一神教であるキリスト教の神を,こんなに多様な呼び方をするのかといいますと,それは,「三位一体(さんみいったい)の神」というキリスト教の神の特徴的な性質に起因しています。
 この「三位一体」について,簡単に説明してみます。
 まず,「三位」の「位」ですが,これは英語でいうとpersonのことで,人称や格と訳されますが,それは「存在のしかた」を表します。それが,「三位」なのですから,神は我々との関係において三つの存在のしかたをするというわけです。
 その三つの存在のしかたのうち,第一位は創造主としての存在です。「父なる神」といった場合,これにあたります。
第二位は人としてこの世にお遣わしになった神の子=イエス・キリストのことです。
そして,第三位が「聖霊」ですが,この「聖霊」によって私たちは直接神と結びついていると教えらています。
このように,神は「父」「子」「聖霊」という3つの存在のしかたをするのですが,実はその本性は一つで,それを指して「一体」といっているわけです。
ところで,その「一体」である神の本性とはいうまでもなく,愛です。
拙い説明でしたが,新約聖書「ヨハネの手紙T」第4章から引用することによって,深めていただけるのではないかと思います。

 愛する者たち、互いに愛し合いましょう。愛は神から出るもので、愛する者は皆、神から生まれ、神を知っているからです。愛することのない者は神を知りません。神は愛だからです。神は、独り子を世にお遣わしになりました。その方によって、わたしたちが生きるようになるためです。ここに、神の愛がわたしたちの内に示されました。わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。(ヨハネの手紙T4.7〜10)
 
 神はわたしたちに、御自分の霊を分け与えてくださいました。(ヨハネの手紙T4.13)

 
 神は愛です。愛にとどまる人は、神の内にとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。(ヨハネの手紙T4.16)

この中の「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して」下さったということが,キリスト教の出発点です。 

(第4話おわり)

※ 聖書の引用は日本聖書協会『聖書 新共同訳』によりました。

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